総論: 台湾は独立国家である(中華人民共和国は独立国ではない)

 

 ちょっと前まで台湾人や香港人やシンガポール人や華人系マレーシア人と比べて社会主義に毒された中国人はなんとも奇異な人たちに見えたもので、日本人から見たって台湾人や香港人と中国人は全く別の人種だと認識できたものである。80年代後半に台湾人が第三国を経由して本来ならば禁止されている中国への里帰りや親族訪問を始めたときに、蒋経国総統は台湾人が共産中国に対する親近感を持つことに危惧を抱いたが、シンガポールのリー・クアンユー首相が「中国に里帰りすれば帰って中国との距離を実感することになる」とアドバイスし、それによって台湾人の里帰りは解禁となったいきさつがある。実際に中国に帰った台湾人はもはや中国の人々が自分たちと全く違う人たちに成り果てた、もしくは自分たちのほうが全く違う人間になってしまったことを実感したのであった。

 しかし事情は少しづつ変わりつつある。改革開放下で育った若者たちの多くは台湾人と似たような感性を持つようになってきつつある。もちろんまだまだ両者の間には大きな隔たりがあるが、台湾人と中国人は少しづつ理解しあえるようになってきているようだ。中国人の間から、共産主義の害悪によるマインドコントロールが少しづつ消えようとしている。中国人はだんだん普通の人間に近づいているのだ。それは少しづつ台湾が中国に「復帰」する日が近づいているということなのだろうか。どうやら中国にとって現実はそれほど甘くないようである。そもそも台湾にしたって、中国ほどひどいものではないが上からのマインドコントロールによって毒された日々が長く続いた。中華民国政府が実行支配する領土は中国の300分の1程度の面積しかないにもかかわらず、あたかもここは台湾ではなく、中国であり、中国には中国しかないという幻想を押し付けられてきた。もちろん「大陸反抗」というスローガンのもと、中華民国が中国大陸を実効支配していないことぐらい誰でも知っていたことではあるが、学生の多くが中国歴代の皇帝の名前をいえるのに、台湾の県の名前すらろくにいえないという滑稽でばかばかしい状況が長く続いてきた。しかし現在の台湾ではそのようなマインドコントロールを上から押し付けられるようなことはほとんどなくなったといっていいかもしれない。台湾人の間からマインドコントロールが抜け、新しいアイデンティティーが芽生えようとしているのである。中国共産党にとって今や状況は危機的な状況なのである。中国共産党が盛んに武力行使を脅迫するのも台湾人の間からマインドコントロールが抜けていくことへの重大な危機感があるのである。

 中国共産党は「台湾の将来は中国の13億の人民が決める」とほざいている。これは何をどう考えてもおかしい。今現在中華人民共和国は台湾を実効支配していないのである。にもかかわらず台湾の2300万の国民の意思を全く無視して中華人民共和国のほうだけで決めるというのは絶対におかしい。全く破廉恥としか言いようがない。またさらに「中国13億の人民の意志を無視して2100万の人民の意志のみで決めるのは非民主的である」などと荒唐無稽なことを言っているが、この論理が正しいとすれば、中国の将来にしたって、中国の13億の人々の意思のみでは決めてはならず、台湾の2100万人の意思を尊重しなければならないことになる。つまり台湾の人々が「中国で中国共産党が一党支配するのはいけない」と考えれば、中国のほうは台湾の人々の意思を尊重しなければならないのである。13億と比べて2100万は少なすぎると思うかもしれないが、13億の人々は誰一人として台湾には住んでいないのになぜ台湾の将来について決める権利があるのか全く不可解である。

 それでも中国共産党は台湾は中国であると絶対に譲らない。中国共産党の主張には一応彼らなりの根拠があるようである。 それでは中華人民共和国側から見た台湾が中国であることの根拠をひとつひとつ検証していってみよう。

1、台湾は歴史的に見て中国の領土である。

  これは全く嘘ではないが説得力に欠けるものである。台湾には長い間オーストロネシア系の民族が住んでおり、民族的にはフィリピンやマレーシア、インドネシアに近い。つまり台湾は地理的、歴史的に見れば東南アジア島嶼部の一部なのである。長い間歴代の中国王朝は台湾を化外(けがい)の地とみなし、台湾には全くといっていいほど関与してこなかった。記録に残る台湾の歴史が始まるのは17世紀前半から、しかも最初に台湾の統治を始めたのはオランダである。漢民族が中国から移住するようになったのもこの頃からである。1661年から「反清復明」を掲げた鄭氏による王朝が20年程度続いた。そして1683年になって清が台湾を領有するようになった。このとき初めて台湾は中国王朝の一部になったのである。しかし依然として清王朝は台湾を化外の地と見なし、ほとんど関与してこなかった。転機となるのは19世紀後半、1871年に征台の役が起こると清は台湾の地政学的重要性を初めて認識し、1885年に台湾を福建省から分離、台湾省を設立した。清の台湾に対する関与はわずか10年ほどで終わる。1895年の下関条約によって台湾は日本に割譲されることになる。そしてこれをきっかけとしていよいよ台湾の本格的近代化が始まることになる。日本政府は伝染病や麻薬や匪賊のような台湾を覆っていた害悪に苦労して対処し、これらの問題を解決していった。インフラを整備し、教育を普及させ、治安はきわめて安定し、夜でも鍵をかける必要がないほど台湾は平和で安定していたのである。清が本格的に台湾に関与したのは10年程度であったが、日本は50年にわたって台湾に関与し、台湾の近代化に貢献したのである。日本の台湾植民地支配はヨーロッパの東南アジア支配のような搾取とは明らかに違う。オランダやイギリスなどは植民地から搾取することによって繁栄を築いたが、日本の台湾植民地経営は完全な赤字で利益はほとんどなかったのである。こうしてみても台湾は中国の一部であった期間は長く見積もっても200年ほどのことである。もし200年統治したのだから歴史的根拠として充分であると言うのならチベットや新疆などは歴代王朝の支配下に入らないで独自の王朝を築いていた時代のほうがはるかに長いのだから即刻これらの地域の領有権を放棄するべきである。それでも台湾、チベット、新疆の領有権を歴史的に見て主張するというのなら大元大モンゴル国時代の領土に基づいて、現在の中華自民共和国はロシア全土、イランやイラク、ウクライナやベラルーシやポーランド、さらにはドイツの一部の領有権を主張し、これらの国々と領土紛争を起こさなければならない。

 2歴史的に見て台湾が独立国であった歴史はない。

 確かに鄭氏による20年程度しかない。しかしこれは現在の国民国家を築く資格がないことの根拠には全くならない。もしこの論理が正しいとするならば、アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチンなどほとんど全てのアメリカ大陸諸国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ほとんど全てのアフリカ諸国、旧ソ連の中央アジア諸国などは独立国家を築く資格がなく、数十年か数百年前にこれらの地域を支配した国々の一部にならなければならなくなる。

 

 3国共内戦で勝利を収めたのは中国共産党である。

 これは中国共産党が中国を支配することの根拠にはなるが、台湾を支配することの根拠にはならない。「勝てば官軍」式の論理には一理あるが、中国共産党は確かに大陸では勝利を収めたが、台湾では勝てなかった。つまり台湾では敗北したのである。この論理を適用しようとするとかえって中華人民共和国にとって不利である。

 4中国人も台湾人も同じ民族である。

 これは全くばかげた理論である。たしかに文化人類学的に見れば両者は同じ民族であるが、それならばアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスは全て同じ国にならなければならない。ほとんど全ての中南米諸国も同じ国にならなければならないし、ほとんど全てのアラブ諸国もひとつの国にならなければならない。ドイツとオーストリアは統一すべきだし、ベルギーは分割してオランダとフランスに分けるべきである。本当にばかげた論理だ。

 5台湾人の多くが大陸に復帰したいと願っている。

 これはばかげているのをはるかに通り越した、嘘八百である。現在の中華人民共和国にはこの手の嘘が非常に多い。現在の中華人民共和国で教えられている、歴史(近代史だけではなく古代史も含む)、ニュースなどは非常にうそが多く、外国にいたほうが中国の真の情報がはっきりするぐらいである。言論の自由が認められた台湾ではこの手の世論調査は頻繁に行われており、圧倒的の多いのが(少なくとも過半数)「現状維持」というものである。現状維持とは要するに統一したくないということである。統一したいと答えるのは10%程度である。

 6現在の台湾は世界中から国家として認められていない。

 中国共産党が今更このようなことを言い出すのは卑怯極まりない。なぜなら中華人民共和国だって1960年代までは世界中からほとんど認められていなかった。だったらこの時点で中国共産党は大陸の領有権を国民党に明け渡すべきであったのである。この論理は非常に卑怯である。

 様々な根拠を見てきたがどれ一つとして説得力に欠けるのが良くわかる。強いて言えば1の論理だけは少しは議論してみる価値はあろうが、2〜6に関してはあまりにもばかげているので議論する価値もない。中華人民共和国には台湾を領有する資格がないということがお分かりいただけたであろう。

 それならば、統一するためには台湾の人々の意思がまとまるしかない。台湾の人々の全員でなくても良いが、国民投票などを行って多数の人々が統一したいと望んで、あとは香港のように平和的に統一するしかない。武力行使などというのは破廉恥極まりないし、論外である。私は常々中国共産党には中国破廉恥党という名前がふさわしいと考えているが、武力行使を行っても統一するのは不可能である。なぜならアメリカが介入するからだ。アメリカの法律には台湾関係法という法律があって、台湾が外から武力行使を受ければアメリカは軍隊を派遣して台湾を助けることになっている。6年ほど前に日米安保条約に台湾海峡が含まれるかどうか議論になったことがあったが、橋本首相は豚皇帝江沢民に「地理的概念ではない」といって、終始あいまいな表現に留めた。しかし、台湾海峡含まれるかどうか明言しないということはその実際の意味だれでもわかるであろう。日米安保条約に台湾海峡は含まれるのである。中華人民共和国側は含まないように求めているのだから、もし本当に含まないのであればそのように答えればよい。であるからして中華人民共和国が武力によって台湾を併合するのは不可能である。中国人は「そんなのやってみないとわからない」と思うかもしれないが子供と大人が殴り合いのけんかをするようなものである。

 そもそも常識的に考えてみてほしい。いったいどこの誰が自分の国を武力行使するぞと脅かす国の支配下に入りたいと思うであろうか。武力行使を威嚇することは逆効果である。たしかに表面的には台湾独立を口にしないという意味では効果はあるが、実際には中国共産党が武力行使を威嚇すればするほど台湾人は中国に対して悪いイメージを持つようになり、誰もこんな国に入りたくないと考えるようになるのである。中国共産党がもし本気で台湾との統一を考えているのであれば即刻武力行使を撤回するべきである。さもないとますます台湾人は中国に悪いイメージを持つようになるのである。

 かつての台湾は中国国民党という外来政権によって支配されていた。しかし今や大幅に状況は変わった。言論の自由が確立し、台湾独立を公の場で叫ぶことは可能となった。民主主義が確立し、台湾人は自分たちの国家元首を直接選挙で選べるようになった。つまり、台湾は成熟した立派な独立民主主権国家となったのである。それに比べて中国のほうはどうであろう。4千年の歴史を持つはずのこの文明国が今では共産党一党独裁という時代遅れで封建的で幼稚で非文明的な状態が続いているのである。今の中国の好調な経済発展や華やかな大衆文化と比べると政治のほうは奇々怪々である。つまり今の中国は中国共産党に植民地支配されているのであり、真の独立国家とはいえない。4千年の歴史を持つ中国人としての誇りがあるのならば自分たちの国を持つべきである。中国は中国共産党の植民地支配から独立しなければならない。

 台湾は香港のように一国二制度を受け入れるべきと主張する人がいるが、台湾と香港は全く歴史的背景が違う。香港はイギリスというヨーロッパの国に植民地支配されてきたのであってそれがアジアの国に復帰したことは基本的には歓迎できることである。しかし台湾の場合は違う。台湾はどこからも植民地支配などされていない。今の台湾の政権は台湾の国民が自ら選んだものである。どこにも返還される必要はないし、今のままで充分である。それどころか中国のほうがまだ立派な独立国家とはなっていないのだからどうしても統一するのであれば、中国が台湾の支配下に入ればよい。台湾共和国中華自治区とでもしておけばよいであろうか。もしくは台湾共和国中華特別行政区というのもいいかもしれない。しかしそのようなことは台湾にとっては大きすぎる重荷であり、台湾人の望むところではないであろう。

 今や台湾人の多くは台湾人としてのアイデンティティーをしっかり持つようになった。多くの台湾人は中国人と同一視されることを嫌がる。彼らは「中国人ですか」と聞かれると「いいえ台湾人です。台湾人と中国人は違います」と答える。英語で「Chinese?」と聞かれると「No! Taiwanese.」と答える。シンガポール人や華人系マレーシア人や華人系アメリカ人以上に、中国人と混同されるのを嫌がるのである。

 もはや充分であろう。台湾は立派な独立国家であり。中国ではないのである。中国共産党は即刻台湾の領有権を放棄し、ならびに今まで台湾を威嚇し続けてきたことについて台湾の2200万の人々に謝罪し、賠償するべきである。

 

  

 

 

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