セントルシアが台湾と国交樹立!!

4月25日、セントルシアが台湾と国交を樹立した。台湾と国交のある国はこれで25カ国となった。
セントルシアという国名を聞いてそれがどの辺にあるかをイメージできる日本人は少ないであろう。セントルシアはカリブ海に位置する小国で北はフランス領マルチニーク諸島、南は「セントビンセント及びグレナティーン諸島」(注1)という独立国家がある。面積は616平方キロメートルシンガポールよりやや狭く、人口は16万4千人小田原市よりやや少ない。島の形は台湾に良く似ている。セントルシアは「セントルシア」が正式な国名であり、「共和国」はつかない。英連邦の一員で国内に元首をおかず、国家元首はエリザベス2世が務めている。同じような政体はカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアなどにも見られる。国内に元首を置かない英連邦諸国は国名に共和国も王国もつけず、単に国名だけで呼ばれる。
旧英国植民地と言うこともあって英語が公用語である。そのほかにもフランス語系のクレオールも話されているが、徐々に衰退している。GDPは4600ドルであり、現在のマレーシアや15年前の韓国に匹敵する高水準でNIES並みだが、主要産業が貧弱で日常品の多くを輸入に頼るこの国は物価が非常に高く、国民の生活水準は厳しい。失業率は15%にも達している。
台湾とは1984年から国交があったが1996年に断交。このたび9年ぶりの国交回復となった。台湾にとってこのような小国との外交は意味がないと考える人が親台湾派の中にもいるようだが私はそうは思わない。外交関係を結ぶことは独立国家の証である。通貨も軍隊も選挙も厳密な意味では国家の条件とは言えない。外交は独立国家であることを示す絶対的な条件である。もちろん多ければ多い程よい。よく台湾は国家ではないと主張する人がいるが、25カ国と国交を結んでいることの矛盾を誰も説明できない。しかし、もし台湾と外交関係のある国がゼロになってしまったら、台湾は国家ではないという主張に一定の理論的根拠を与えることになる。
 また、台湾自身も決して大国とは言えないのだから、小国との外交関係を重視することは十分に意義のあることだ。台湾という国はGDPは世界第16位と世界的に見ても決してマイナーな存在ではない。例えばセントルシアから見れば台湾は人口は140倍、面積は60倍、GDPは400倍なわけで、台湾だってかなりの大国に見えるはずだ。だが台湾という国のもっとも弱い部分が外交であり、わずか25カ国と関係を結んでいるに過ぎないのである。弱い部分は補強すればいい。ただそれだけのことである。
今回のセントルシアの英断に心から敬意を表したい。当然ながら中国からは一定の圧力があったはずだ。小国だから中国もあまり気にとめず相手にしないということはない。中国は世界中のすみずみに至るまで小国への外交にも力を入れている。なんといっても中国には台湾の60倍の人口と言う強力な武器がある。アメリカでさえも手薄になりがちな小国にも中国は少なからず外交官、教師、技術者、医師を送り込んでいる。弱いものいじめが大好きな中国は、いうことを聞かない小国に対しては卑劣な嫌がらせを容赦なく仕掛けてくる。旧ユーゴで内戦が勃発し、多数のアルバニア難民がマケドニアに押し寄せたとき、国連が平和維持部隊を派遣しようとしたが、マケドニアが当時台湾と国交を結んでいたことを理由に拒否権を発動したことは記憶に新しい。
我が日本としては何かできることはないであろうか。政府としては、台湾と国交がある国にはODAを増額するなど、表向きの理由は伏せておくにしても台湾と国交を結んだ国が優遇されるような外交政策ができれば望ましい。すでにわが国はセントルシアに対して第一位の援助国となっているが、政治的な関係は希薄である。98年にアンソニー首相が来日したことがあるが、わが国からは2,3人の議員が訪問した実績があるくらいだ。経済関係も希薄である。わが国とセントルシアの貿易を見ると、輸入が2000万円であるのに対し、輸出は8億1千万円。セントルシアから見れば対日貿易は実に4000%もの赤字である。セントルシア自身、貿易総額を見ると350%という赤字を記録している。主要産業であるバナナをもっと日本が輸入できないものだろうか。
小国を小国として片付けず、大国の独断に翻弄されずに正義と道理を貫く小国にも暖かい眼差しを向けようではないか。

注1 セントビンセント及びグレナティーン諸島で一つの国名である

セントルシア公式サイト

セントルシア Yado Carib

 

     

 

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