【書評】『日本の命運は台湾にあり』−東アジア情勢を学ぶ教科書として持ち歩きたい一冊
 
 

 

 12月15日、台湾研究フォーラム会長を務める永山英樹氏の著書が出版された。永山英樹氏というと、デモや抗議活動などでリーダーを務め、力強くシュプレヒコールを叫ぶ印象があるが、時には自ら壇上にあがって東アジア情勢についての講演を行い、テレビに出演して台湾の重要性を訴え、さらにブログ『台湾は日本の生命線!』を運営してほぼ毎日文章を発表するなど、マルチに活躍できる人物である。

 永山氏はしばしば講演会やブログで、日本の生命線としての台湾の重要性を主張している。この著書では国際社会における台湾の存在意義、危機が増大する東アジア情勢について理解することができ、台湾を応援していくうえで重要な知識が凝縮されている。

 第一章「軍拡中国」では、増大する中国の軍事的脅威について、歴史的背景、中国の世界観、政治や経済や軍事に関する具体的な実例やデータを豊富に紹介しながら説明している。

 第二章「台湾は中国の一部か」ではカイロ宣言の法的根拠、GHQの命令文書、中国が発表した『台湾白書』、孫文や毛沢東の過去の言説、日中共同声明などを緻密に分析し、台湾が中国の一部であるという虚構を完膚なきまでに打ち砕いている。

 第三章「迫りくる台湾有事」では現実に緊迫感を増す台湾海峡情勢について、政治、軍事の両面から情勢分析を行っている。軍事面でのデータも豊富だが、台湾、日本それぞれの政治的な弱点も指摘している。

 第四章「台湾を放棄?」では教科書問題、外国人登録証問題、台湾への内政干渉など、日本政府の理不尽で矛盾した対応について述べられており、なおかつなぜ理不尽なのかが論理的に説明されている。

 第五章「中国の傀儡」では主に国民党が野党転落後、急速に連共反台に傾いたことや、それと表裏一体の反日について述べられており、中国国民党の本質を理解することができる。

 第六章「日台は反撃できる」では日本と台湾が協力して中国に対峙することの重要性を主張している。

 最後に掲載されている黄文雄氏との特別対談「いま問われる日台の命運」で展開される優れた情勢分析も見逃せない。

永山氏はいわゆる学者ではないので、この本は学術論文ではない。とはいえ私は初心者にも専門家にも推薦したい。なぜならこの本は具体的な情報やデータが豊富で、しかも情緒や勢いに頼らず徹底して論理で埋め尽くされている。なぜ中国が脅威なのか、なぜ台湾は中国ではないのか、なぜ台湾の存在が日本にとって重要なのか、なぜ国民党に反対するのか、などについて納得できる回答と結論を与えてくれるのだ。こうした問題で他人と議論する機会の多い人には特にお勧めだ。東アジア情勢を学ぶための教科書にしたい一冊である。

  

2007年1月13日、台湾研究フォーラムでの永山英樹氏の講演 2007年9月15日、「友邦台湾を国連へ」アピール行進で、出発前の集会で演説する永山英樹氏。

 

 
チャンネル桜にテレビ出演する永山英樹氏  

   

 

 永山英樹著『日本の命運は台湾にあり』

 

     

 

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