「中立」「内政干渉論」のおろかさ−統一の悪影響を考える

以前、どこかの掲示板で、「台湾の将来は台湾人が決めるべきであって、日本人が独立を支持したりするのは内政干渉に当たると思います」などといわれたことがある。だがここで内政干渉を持ち出すのは筋違いである。基本的に皇族、首相、閣僚などでない限り、この手の発言には内政干渉など関係ないはずだ。私は純粋な民間人である。何を語ろうとも自由であるし、台湾の特定の勢力を応援するのは間違いではない。しかも現在、中国政府が極めて露骨な内政干渉を台湾に対して行っている現在では、日本としても台湾を支援する義理があるはずだ。
 しかも台湾問題に関する内政干渉とは実は基準がない。どこかの国の政治的地位が高い人が「台湾独立を支持する」と発言したら、中国政府は「わが国に対する内政干渉だ!」と言って非難するであろう。しかし「台湾は一国二制度を受け入れるべきだ」と発言すれば、中国政府はその発言を歓迎するであろう。「内政干渉」という非難がいかにばかげているか、これでお分かりであろう。
 「台湾問題は中台間の問題であり、私は日本人として中立を保つ」という人もいる。これは状況を全く理解していない無知な人間が考えることであろう。実際に中立を保つなどという人は無関心な人が多い。無関心だからどうでもいいのである。
 「中国も台湾も両方とも好きだから、中立を保ちたい」という人もいるだろう。中国を好きになるのは一向に構わない。だがこれを持ってして中立を保つというのは、中国の本質を理解していないと考えて間違いない。中国が好きであっても台湾独立を支持することは可能である。もちろん台湾独立支持をいいながら中国人と仲良くすることは極めて困難だ。だが、中国文化に興味があって、中国に何回も旅行に行って、中国語を勉強して、中国に留学したりして、でも台湾独立支持というのは可能なはずだし、日本人の視点では矛盾しない(中国人の視点では矛盾するだろう)。
 ではこれから具体的にいろいろ説明するとしよう。中国の台湾に対する態度を見ていると、台湾の国際機関への加盟を阻止し、台湾でのスポーツ大会の開催を強引に阻止し、台湾要人の海外訪問を強引に阻止し、「独立することも統一することも武力行使の条件とする」などと脅迫している。誰がどう見ても、中国が台湾に露骨な嫌がらせをしている。弱いものいじめである。あなたは露骨ないじめっ子といじめられっ子を見て中立を保てるのか?だとしたらそんなものは単なる偽善である。かくいうわが日本も中国から露骨ないじめにあっており、日本政府や外務省は中国様に逆らえず、ひたすら中国様に忠誠をつくし、貢物を送り、土下座外交を繰り返している。あなたは一国民として、このような状況を見て黙っていられるのであろうか。せめて台湾の国際機関への加盟、台湾要人(特に李登輝氏)の日本訪問、武力行使への反対ぐらいは主張すべきである。これさえも支持できないのだとしたら、あなたの考えは偽善であり、不正義であり、反平和的行為であると断言してもいい。
 さらに台湾は国会議員選挙、総統選挙、地方選挙、国民投票などが行われている成熟した民主主義国家である。これがイギリスの植民地であった香港とは決定的に異なる点である。それに比べて中国は時代遅れの共産党封建独裁である。もちろん、民主主義といってもその国の事情や文化的背景によって、その国にふさわしい民主主義がある。アメリカ式の民主主義がどの国にもあてはまるわけではない。だが中国の場合、民主主義がゼロに近い。民主主義国家台湾が、民主主義がゼロの中国の支配下に入ることが、アジアの平和にとって望ましいとあなたは本当に思うだろうか。統一しても一国二制度によって民主主義が保たれるというのは大間違いだ。実際に香港では中国政府、ならびに香港特別行政区政府が、国家保安法という、国家転覆を図る行為を禁止する法律を制定しようとし、これに香港市民、マスコミが猛烈に反対して(人口たった600万人の香港で)数十万人規模のデモが何回も起きている。独立運動がほとんどない香港でさえもこのような状態である。台湾が統一した場合、今まで以上に独立運動が盛り上がるものと思われる。そうなった場合、中国政府がそのような活動を放置するとは思えない。必ずや台湾の民主主義を弾圧しようとするだろう。
 経済面においても統一が台湾に利益をもたらす可能性は低い。台中間の往来が今以上に活発化すると、台湾の産業空洞化は今以上にさらに深刻化し、台湾の国内産業は深刻なダメージを受けるのは目に見えている。中国からの観光客が大量に押し寄せて台湾の観光客が潤うと考える人もいるかもしれない。確かに香港は返還後、一時的に観光業が停滞したが、その後は中国からの大量の観光客によって潤っている。だが香港が成功できたのは面積がたったの1000km2しかないからであり、香港の36倍の面積を持つ台湾に中国人観光客が大量に押し寄せたら、台湾全土が中国人不法滞在者の温床となり、台湾の治安は桁違いに悪化するであろう。全体的に見て、統一してしまうと、台湾の経済力は中国に吸い取られてしまうし、中国には得だが、台湾は損をするしくみとなる(話すと長くなるので今回は省略するが、統一すると、中国側も様々な問題に悩まされるはずだ)。
 日本にはどのような影響があるであろうか。中国は世界一の反日国家。台湾は世界一の親日国家である。台湾が統一してしまうと中国政府は台湾のマスコミに干渉し、台湾の親中反日マスコミに加担し、台湾の親日感情をそぎ落とすよう努力するであろう。
 さらに台湾が中国のものとなってしまうと、わが国固有の領土である尖閣諸島は深刻な脅威にさらされる。それどころか、沖縄さえも深刻な脅威にさらされるのは間違いない。すでに人民日報など中国の大手マスコミの多くは「琉球群島は中国に属すべき」と発言している。
 よく言われることは、台湾海峡を中国に握られると、日本の船舶は迂回しなければならなくなり、大きな経済的損害を強いられるというもの。これは日本だけでなく、韓国にとっても重要な問題である。
 他のアジア諸国にはどのような影響があるか。台湾問題が片付くと、中国は確実に他の国との領土問題や領海問題に力を入れるはずだ。これによりフィリピン、ベトナム、マレーシアなどは深刻な脅威を受ける。中国の露骨なことは、南シナ海のほぼ全域を中国の領海と主張していることだ。フィリピン、ベトナム、マレーシアなどの、自国の国土のすぐ目の前の海を失ってしまうことになる。これはまさしく東南アジア諸国にとっても極めて深刻な脅威である。
 これらを見てよくわかるように、台湾統一は台湾にとっても不利益であると同時に、日本やその他のアジア諸国の平和と安定にとっても深刻な脅威となるのである。

 あなたはこれでも「中立」などというのんきなことを言っていられるのだろうか。それとも自分さえ良ければそれでいい、世界が平和にならなくてもそんなことは俺とは関係ないさ、とあなたはお考えか。
 

     

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送