国民代表大会選挙結果分析

5月14日に国民代表大会選挙が行われた。民進党が選挙に参加するようになってから4回目、今回は96年以来、実に9年ぶりの実施である。今回は全て比例代表制で行われ、12の政党が参加し300議席を争った。
今回の選挙は、いつもの選挙のような台湾派対中国派の争いではないと言われている。国民代表大会では憲法修正について話し合われ、その主な内容は@立法議会の議席数は225から113に半減、A立法議会選挙を従来の中選挙区制から小選挙区制に移行する。BCなどであるが、特にAが問題となった。いつも激しく対立している民進党と国民党は大政党であるがゆえに、この憲法修正案に賛成。本来ならば全く正反対であるはずの台湾団結連盟と親民党が小政党であるがゆえに反対に回った。であるからして、今回の選挙は台湾の独立、本土化とは関係ないという意見もあるが、実はそうともいえない。なぜなら直前に国民党の連戦と親民党の宋楚瑜が相次いで中国を訪問したからだ。中国派の両政党党首の訪中が選挙にいかに影響を及ぼすかも注目され、やはり台湾派対中国派の対決にもなったといえよう。
今回の選挙で気になるのは投票率が23.36%という異例の低さにとどまったことだ。その理由としては@直前までニュースは連戦、宋楚瑜訪中のニュースが中心で、選挙のことは後回しにされた。Aそもそも「第二の国会」と揶揄されている国民代表大会の存在意義に疑問があり、実際のところ今回を持って国民代表大会は廃止される見込みであること。B民進党、国民党両党が立場が同じなので、はじめから勝負が見えていること。C当日は大雨に見舞われたこと、などが理由として挙げられるが、それにしても投票率が低すぎるといわざると得ないであろう。
さてその結果は以下の通りである。(賛)は憲法修正に賛成、(反)は反対を意味している。(台)は台湾派、(中)は中国派を意味している。
民進党(賛)(台)           1647791票 (42.52%)127議席 
国民党(賛)(中)           1508384票(38.92%)117議席 
台湾団結連盟(反)(台)       273147票(7.05%)21議席 
親民党(反)(中)           236716票(6.11%)18議席 
張亜中等百五十人連盟(反)(中) 65081票 5議席 
中国民衆党(賛)(中)        41940票 3議席 
新党(反)(中)            34253票 3議席 
無党団結連盟(反)          25162票 2議席 
農民党(賛)              15516票 1議席 
建国党(反)(台)           11500票 1議席 
公民党(賛)               8619票 1議席 
王廷興等二十人連盟(反)     7499票 1議席
今回の選挙は直前の連宋の訪中が世論から比較的高く評価されており、それに対する陳総統の発言があまりにも優柔不断であったことから与党の苦戦が予想されていたが、予想を覆し、民進党は勝利を収めた。民進党についてはあとで詳しく述べることにしたい。
国民党は昨年末の立法議会選挙の得票率を上回り、比較的健闘したといえる。それと同時に西暦2000年以降、国民党の国政選挙(00年総統選挙、01年立法議会選挙、04年総統選挙、04年立法議会選挙、05年今回の選挙)での得票率は常に民進党を下回っており、国民党の集票力も一定の限界に達しているといえる。だが2004年の総選挙の敗北後の国民党は、高雄市議会補欠選挙、立法議会選挙、今回の選挙といずれも健闘している。
台連は得票率は伸び悩んだが、親民党を上回り、第三党となったのは大きな成果である。
親民党はもっとも深刻な結果に終わっている。理由としては、2月に陳総統と会談したことが、陳総統にとってもマイナスとなったが、宋楚瑜率いる親民党にとっても支持者離れを招いたようだ。親民党は昨年7月の高雄市議会補欠選挙で全敗、昨年末の立法議会選挙でも議席を14も減らし、今回の選挙でも大敗し、落ちぶれる一方である。
新党は張亜中等150人連盟や中国民衆党よりも下回る大敗である。
建国党は最も台湾意識の強い政党でありながら結党以来ほとんど実績を残せずにいたが、今回1議席を獲得したことはそれなりの成果といえる。
直前に連宋が訪中したことの影響は、投票率の低下を招いた可能性はあるが、各政党の得票率にどのような影響を与えたかは不明である。国民党が健闘し、親民党が大敗したからだ。今回の親民党の大敗の原因は宋楚瑜の訪中によるものというよりかは、陳総統との会談が親民党支持者を失望させ、国民党に票が流れたと考えるのが妥当であろう。

続いて、各県市の得票率を見ていくことにしよう。
各県市得票率(%)
 

出展:メールマガジン『台湾の声

嘉義市、嘉義県、台南市、台南県、高雄市、高雄県、屏東県などの南部で台湾派が強いのはいうまでもない。特に陳水扁総統の出身地である台南県では61.9%の得票率で圧勝、中国派に27.4%の大差をつけた。台連は高雄市で9.9%と比較的健闘したものの、二桁の得票率を得た地域がなかった。
注目に値するのは中部である。中部では昨年の総統選挙で台湾派が中国派を上回り、台湾派の支持が「北上」したなどといわれていたが、昨年末の立法議会選挙では逆に01年の選挙よりも下回ってしまった。ところが、今回は再び台湾派の得票が上昇し、中国派を逆転した。特に雲林県では59.5%の高得票で全国でも台南県に次いで2位となっている。そのほか、台中市、台中県、彰化県でも台湾派が上回った。南投県、澎湖県では中国派が上回った。基隆市では親民党が10.0%と健闘、だが、台連も8.5%と比較的健闘した。
北部では台北県と宜蘭県で台湾派の勝利、台北市では中国派の勝利だが、差が1.8%に縮まっており、台連の得票率が親民党を上回った。こうしてみると、台湾派への支持は中部からさらに北部へと「北上」するきざしが見える。客家人が多い新竹県や苗栗県では中国派が圧勝している。全体的に見ると、今まで北部を最大の基盤としていた親民党の凋落が著しい。
原住民が多い東部では依然として中国派が単独で60%以上の得票を得て圧勝している。親民党は花蓮県で11.5%を獲得して健闘した。花蓮、台東両県では台湾派の得票率は30%に満たない。
離島で台湾派はほとんど歯が立たないのは言うまでもないが、連江県(馬祖島)で今回はじめて民進党の得票率が二桁を越えた。連江県で台連は0.4%。同県の人口は8千人程度で、投票率が4分の1程度だから2000人が投票したと仮定して、0.4%ということは8票ということになる。


さて、今回の選挙はいろんな意味で台湾にとって成果のある選挙であった。
まず民進党結党以来4回目となる国民代表大会選挙で、今回民進党が初めて第一党となったことだ。以下は過去四回の国民代表大会の結果である。この選挙は今回が最後となる見通しであり、民進党にとっては終わりよければ全てよし、といった感じか。
86年 民進党24% 国民党65%
91年 民進党23% 国民党69%
96年 民進党30% 国民党50% 新党13.6%
05年 民進党42% 国民党38%

二つ目としては、全国レベルの議会選挙で民進党が初めて得票率40%の大台を超えたことだ。民進党は92年の立法議会選挙で33.18%の得票率を記録し、「勝利宣言」行った。しかしこの頃から、民進党の得票率は3分の1ぐらいで頭打ちとなるとの予測がなされ、この予測は見事に的中した。その後の全国レベルの議員選挙の民進党の得票率を見てみよう。
94年台湾省議会選挙 31.67%
95年立法議会選挙 33.17%
96年国民代表大会選挙 29.85%
98年立法議会選挙 29.42%
01年立法議会選挙 33.38%
04年立法議会選挙 35.72%

ご覧の通り、民進党は全国レベルの議会選挙で伸び悩んできた。(その間も県市長選挙や高雄市長選挙、総統選挙などでは躍進してきたのだが)民進党は今まで総統選挙や県市長選挙で過半数を獲得したことはあったが、国政レベルでも地方レベルでも議会選挙で40%以上の得票率を獲得したのは始めてのことであり、民進党にとって大きな成果である。
ほかにも成果がある。
三つ目の成果としては、今回台湾派の政党は過半数には若干届かなかったが、ほぼ半数に近い得票であり、中国派政党の合計を上回った。これは議会選挙としては国政選挙、地方選挙を問わず、台湾史上初めてのことである。
台湾派の得票率 49.87% 149議席
中国派の得票率 48.67% 146議席

4つ目の成果としては、台湾団結連盟の得票が親民党が上回ったこと。これも、補欠選挙などを除いては初めてのことであろう。しかし、比例代表制という小政党にも平等な選挙制度でありながら7%という得票率に留まったことは台連にとっては不満であろう。せめて10%はほしいところだった。07年の立法議会選挙は小選挙区制となる可能性が極めて高く、台連は苦戦が予想される。今後台連は第三政党として以下に存在感を高めていくか、とりあえず今年末の県市長選挙では台連の出る幕はないと思われるので、来年の地方議会選挙が重要な鍵を握りそうだ。
最後に5つ目の成果としては、中部での支持が復活したことだろう。特に雲林県での圧勝は注目に値する。そうなると今後期待できるのが、年末に行われる県市長選挙である。台中市、台中県、雲林県などでは民進党が政権を獲得する可能性が十分に有る。現時点で、中部が南部のように完全に台湾派の地盤となったかは微妙である。年末の県市長選挙と2年後の立法議会選挙ではなんとしても中部を押さえたいところだ。
もちろん、今後に向けての問題点もある。台連の得票率は親民党を上回ったものの、7%に留まった。今後の小選挙区制に向けて台連は生存の危機に経たされることになる。さらに国民党は総統選挙の敗北後は比較的調子がいい。小選挙区制が導入されると台湾派政党にとっては大きな脅威となるであろう。親民党の凋落が著しいことは明らかになったので、今後国民党をいかに切り崩し、民進党や台連の支持拡大につなげるかが大きな課題である

 

     

 

 

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