李登輝友の会神奈川支部設立 

台湾独立建国連盟、在日台湾同郷会、台湾研究フォーラム、日本台湾医師連合、台湾団結連盟日本支部などなど、日本国内の台湾関連団体の中で最も規模が大きく、影響力が強いのはやはり日本李登輝友の会であろう。役員には小説家の阿川弘之氏のほか、岡崎久彦氏、中西輝政氏、黄文雄氏、田久保忠衛氏など、早々たるメンバーが名を連ね、東京の本部のほか、全国8箇所に支部を構えている。これだけ規模が大きくなったのも、やはり李登輝氏がいかに日本で敬愛を受けているかを示していると言えよう。日本において、李登輝氏よりも知名度の高い外国の政治家はたくさんいるかもしれないが、李登輝氏ほど人気の高い外国の政治家を私は知らない。日本において、ブッシュ友の会とか、プーチン友の会とか、胡錦濤友の会など聞いたことがない。
 さて、私の地元である横浜市にもついに神奈川支部が9つ目の支部として設立され、2月19日、横浜石

会場となった神奈川労働プラザ4階会議室

川町の神奈川労働プラザにて神奈川支部設立大会が開催された。以下はそのリポートである。
 まず開会宣言を小田村四郎会長が行う予定であったが、所用により出席できなくなったため、片木裕一氏が小田村氏のメッセージを読み上げた。続いて設立準備委員会の石川公弘氏が開会のあいさつと神奈川支部設立の経過説明を行った。
 さらに神奈川支部規約案を池本氏が読み上げた。その後、規約案に対する不明確な点への質問や誤記の指摘が参加者からなされ、若干の訂正が加えられることとなった。
 その後、司会の佐藤雅彦氏が支部役員案の名簿を読み上げ、参加者の拍手によって了承された。会長に選出された石川公弘氏が再び壇上に立ち、就任の挨拶を述べた。
 続いて、副支部長に選出された遠藤正弘氏が神奈川支部の活動方針を述べられた。活動内容は、
(1)講演会、研修会の開催
(2)支部会員の親睦の推進
(3)台湾関係者との親善交流
(4)その他上記事項に関する事業
というものだが、遠藤氏はさらに付け加えて、講演会に関しては500名程度の参加者を集め、外部にも

小田村四郎会長に代わって開会の言葉を述べる片木氏

開かれた形での開催(昨年8月に神奈川労働プラザで開催された李登輝友の会主催の講演会の参加者は約200名)、会員数160名(すでに全国の支部の中では最大規模)をさらに増強するなどの意欲的な目標を述べられた。最後に野村勝美(かつよし)氏が閉会宣言を述べた。

 予定より早く終了したので、まどか出版の梶山氏が最近出版された阮美スさんの著書を紹介し、さらに阮美スさん本人が壇上に立って自らの経験を述べられた。

支部長に就任した石川公弘氏

10分間の休憩の後、林建良氏の講演会が始まった。講演のテーマは「李登輝理念とは何か」
 林建良氏は李登輝氏の理念を4つ述べられた。すなわち@日台共栄、A真実、B誠実、C国づくりの4つである。

 まずは日台共栄についてであるが、22歳まで日本人であった李登輝氏は日本の文化、思想を深く理解しているがゆえに、日本はアジアのリーダーになってしかるべきと考えている。それは日本が単に勤勉な民族だから、日本製品の品質が良いから、経済力が強いからなどという理由だけではなく、日本人の優れたモラルにあると考えている。だからこそ日本はアジアでリーダーシップを発揮すべきなのである。李氏は総統退任から間もない頃、中島嶺雄氏との共著『アジアの知略』の中で、台湾、日本との間で兄弟のような関係を築きたいと述べられている。
 近年東アジア共同体構想が論じられることがあるが、それは主に中国を中心としたものである。しかし

神奈川支部の規約案を読み上げる池本好伸氏

、日本に地理的だけでなく、文化的にも近く、日本精神の原点の部分を学ぼうとしているのはまさしく台湾人である。日本に最も近い外国である台湾を見ないで何が東アジア共同体か。共同体を目指すならばまずは日台共栄を目指すべきである。
 二つ目の「真実」について。李登輝氏は総統退任後の2001年4月、16年ぶりの訪日を果たした際に宿泊した大阪帝国ホテルに残した色紙には「真実 自然」という言葉が書かれてあった。林建良氏は台湾に、仲が良い政治家も入れば、仲が悪い政治家もいるが、仲が悪い政治家の中には自分がいかに偉大であるか、自分のおかげでこれだけの予算が入ってきたなどの自慢話をする人が多いという。しかし李登輝氏は決して飾ったりはせず、ありのまま、真実のままに行動する。

神奈川支部の活動方針を述べる遠藤正弘氏

 林氏の知り合いの日本人の中には「1971年までは台湾とも国交があったのにね。今はなくなっちゃたね」という話をする人が多いようだが、林氏はそうは考えない。日本が1971年まで国交を結んでいた国は蒋介石独裁政権による中華民国であって、果たしてそれが台湾と国交を結んでいたことになるのだろうか。さらに1972年には日本は中華人民共和国との国交を結び、「台湾は中華人民共和国の一部」という中華人民共和国の主張を「理解し、尊重」した。日本は隣のヤクザに怯えるあまり、かつては家族であった台湾を見捨て、ヤクザが台湾の領土を侵害しようとする行為を「理解し、尊重」しているのである。
 なぜ日本はかつては蒋介石独裁政権を、そして現在は中華人民共和国ヤクザ政権を尊重し、台湾のことを見捨てるのか。日本には「真実」が求められている。
 三つ目は「誠実」について。誠実というのは基本的に真実と一緒である。ではその真実を客観的にどのように行動に表すかが重要である。
 李登輝氏は李登輝学校において「日本精神」の素晴らしさを盛んに力説している。台湾ではもともと「

閉会宣言をする野村勝美氏

日本精神」という言葉は積極的な意味で用いられており、林建良氏は来日する際、日本精神の本場でその精神を体験することを期待していたが、結果として20年経った今でもその日本精神を探し続けている。戦前に日本の教育を受けた李登輝氏は日本精神を賞賛しているが、戦後の日本を見てきた林建良氏は、日本人はなぜそのような日本の素晴らしい貴重な部分を捨ててしまったのか、日本人に日本精神を再び取り戻してほしいと願っている。
 最後の国づくりについて。
 戦後の日本は7年間米国の占領下におかれた後、主権を回復した。とはいっても日本の憲法は米国という外国によって作られたものであり、自分で憲法を作ってこそ主権国家と言えるのではなかろうか。
 もちろんこれは台湾にも当てはまる。台湾で用いられている憲法は中国人が中国で作り、台湾に持ち込んだものである。台湾が独自の憲法を制定するというのは民主主義の観点から見れば極めて正統な権利であるにもかかわらず、日本政府は「現状を変更するな」と圧力をかける。隣のヤクザが強迫してくるからである。しかし林建良氏は、例え隣にヤクザから強迫されても、憲法を作り、国家を作るという強い決意を述べられた。

時間が余ったため、阮美スさんが壇上に上がって演説した

李登輝友の会とは、単なる李登輝ファンの集まりではなく、李登輝理念を大切にし、日本と台湾という二つの国家の将来を真剣に考えていく組織なのだ。そのためには一人一人が李登輝理念を持って、行動しなければならない。行動力と実践力が必要なのだ。

 林建良氏が講演を終えると聴衆から盛大な拍手が沸きあがった。

 質疑応答の際、日華親善協会の関係者が、台湾はこれから2年間が極めて重要な時期に思えるが、今後の展開としてどのように考えているかという質問をした。それに対し林建良氏は、立法議会選挙が中選挙区から小選挙区となり、定数も半分に減ることから国民党に有利で、台湾派の政党が苦しい立場であることを認め、2008年には政権が交代する可能性もあると言及した。しかし林建良氏は「それでも構わない。私はそれでも国を作る。敵が作った制度にのっとってゲームをプレイする。国づくりにはそのくらいの勇気と気概が必要だ」と強い口調で述べた。

 こうして神奈川支部設立大会は閉幕した。神奈川県ではすでに160人の会員数を擁しているが、大阪を超えて全国第二位の人口を誇る神奈川県は今後さらなる会員数の増大が見込めるであろうし、日台関係の進展に大きな貢献が期待できよう。
 また、今後も李登輝友の会の支部が新設され、47都道府県全てに拡大していくことを願っている。
 

李登輝理念について力説する林建良氏


    


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