李登輝氏訪日延期、国家主権をないがしろにしてきたツケ

 

 9月の李登輝氏訪日が発表され、日本で歓迎ムードが巻き起こったかと思いきや、またもや延期が発表された。健康上の問題からだ。落胆している方も多いことと思う。今回の訪日延期の背景にあるものを考えて見たい。
 李登輝氏は十数年前から度々訪日を希望してきた。94年広島アジア大会、95年APEC大阪会議、97年の京都大学百周年記念式典、総統退任後の2000年に松本市で開催されたアジアオープンフォーラムなどなどことごとく中国からの猛烈な圧力によって、日本政府はビザを発給しないか、もしくは李登輝氏自身がビザ申請を断念するという事態に追い込まれた。01年に病気治療のためにようやく16年ぶりの訪日が実現したものの、2002年に慶応大学で予定されていた講演会、2003年9月の観光目的の訪日も阻止された。
 2004年12月にやっとのことで李登輝氏の観光旅行が実現した。この時も中国政府は猛烈な圧力をかけてきたが、日本政府はそれほど動揺することなくビザ発給に踏み切るなど、主権国家として若干の進歩が見られるが、それでも議員接触や記者会見を行わないなどの意味不明な制限がつけられた。2005年には台湾人に対する観光ビザ免除の恒久化が決定され、さらに日本政府の判断により、李登輝氏もビザなしで観光旅行ができるようになった。数年前には考えられなかったような大幅な進歩と言える。
 そして2006年、李登輝氏は5月に訪日し、かねてからの念願であったおくのほそ道を歩くはずだった。中国政府の反発はあるだろうし、政治活動には制限もつけられるだろうが、訪日そのものには何の障害も無いはずだった。だが結局延期された。さらに李登輝氏は9月への訪日を希望していたが、結局これも延期された。理由は2回とも健康問題である。
 ついにこの時が来てしまったのだ。いつかは来ると誰もがわかっていた。もちろん李登輝氏が健康を回復される見込みは十分にあるのだから、ぜひまた体力を回復されて、おくのほそ道を歩いていただきたいと思っているし、まだまだ何度でも日本に来てほしいと願っている。だが、物事が思うように進まなくなってきている。李登輝氏には日本でやりたいことがまだまだたくさんあるはずだ。おくのほそ道を歩くことのほかに、靖国神社参拝、講演会、議員との懇談など、観光旅行でもおくのほそ道以外で訪れたい場所がたくさんあるのではないだろうか。そのいずれもが実現していない。
 なぜこのような結果になってしまったのだろうか。理由は明白だ。日本政府が中国政府の強迫にびびりまくって李登輝氏を拒絶し続けてきたからだ。広島アジア大会への招待を受けた時の李登輝氏は72歳、平均寿命が延びている今日では海外渡航ぐらいなら支障のない年齢だ。だが84歳ともなればなかなかそうもいかなくなってくる。せめて総統退任後は李氏の訪日を自由にしてほしかったと、悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。
 言うまでも無く、李登輝氏は台湾民主化の英雄であり、台湾正名運動の精神的リーダーであり、日台友好の象徴的人物である。このような立派な人物は本来ならば日本政府が率先して招待すべきである。しかし李登輝氏を極悪人扱いする中国共産党暴虐独裁政権の脅迫により、日本の腰抜け外務省は幾度もビザ発給を拒否し続けてきた。客観的に見れば中国共産党政権とは天安門広場で自国人民に対し無差別大量殺戮を強行したり、法輪功学習者への生体臓器摘出を行うなど、人類史上最悪の凶悪殺人組織である。そんな中国政府が李登輝氏を批判したところで全く説得力はない。それどころか日本、およびアジアの民主主義を守るために、そして人間社会の正義と倫理を守るために、日本政府は積極的に李登輝氏を受け入れ、李登輝氏を非難する中国政府に対し、逆に強く抗議すべきである。
 もちろん腰抜け日本政府にそんなことできるはずがない。台湾民主化の英雄李登輝氏を長年拒絶し続けてきた結果、李登輝氏はついに健康上の理由で訪日が難しくなってしまったのだ。中国政府のいいなりとなって、日本の国家主権と民主主義をないがしろにしてきたツケが回ってきたのだ。
 個人レベルで考えよう。子供のときにきちんと勉強しなければ進学が難しくなる。学歴が低ければ就職も難しくなる。就職がうまくいかなければ賃金の低い仕事をせざるを得ない。就職してからも努力して成果を出さなければ昇進もできず給料も上がらない。努力を怠れば、あとあとツケが回ってくるのである。もちろん人間は誰でも失敗がある。判断を誤ることもある。失敗したらそれを教訓にしてさらなる努力をすればいいのである。
 過ぎた時間はもう元には戻らない。李登輝氏には健康を回復していただけるよう願うしかない。それと同時に我が日本国も主権を回復しなければならない。主権回復を怠っていれば、後世に様々なツケを残すことになる。誰にでも過ちはあるが、重要なのは同じ過ちを犯さないことだ。次回の李登輝氏訪日時には、日本政府はもはや政治活動をしないなどの制限をつけるべきではない。中国政府からの反発を恐れてはならない。小泉総理の靖国参拝でわかるとおり、中国からの反発を避ける最も効果的な方法とは、中国政府に妥協することではなく、毅然とした態度をとることである。我が国の政府、マスコミ、国民は二度と同じ過ちを繰り返さずに、李登輝氏を盛大に歓迎すべきである。
 
 
 
 

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