「日台共栄の夕べ」 井沢元彦氏の講演会レポート

 

会場となった池袋のホテルメトロポリタン

 12月23日、東京池袋のホテルメトロポリタンで日本李登輝友の会主催による「日台共栄の夕べ」が開催された。
 午後5時、エッセイストの謝雅梅氏司会のもとで始まった。李登輝友の会会長の小田村四郎氏は開会の挨拶で、天皇誕生日のお祝いの言葉を述べ、19日に台北で行われた天皇誕生日レセプションに李登輝前台湾国総統が参加されたことについても述べられた。
 さらに来賓として梅原克彦仙台市長が挨拶を述べた。仙台市は今年の1月20日に台南市との間で交流促進協定締結都市となった。仙台と台南は10年ほど前から七夕祭りなどで交流を重ねていたが、関係をよりレベルアップしようとのことで動き出したところ、案の定中国大使館からの妨害が入ったと言う。

司会を務めた謝雅梅氏
開会の挨拶を述べる小田村四郎氏
来賓として挨拶を述べる梅原克彦仙台市長

 そしていよいよ井沢元彦氏による講演が始まった。井沢氏はまず日本の原状について悲観的見解を述べた。つい最近、政府が松本京子さんを拉致被害者として認定したが、拉致されてからすでに29年が経過している。政府の対応がのろいのはもちろんだが、本来ならばマスコミが率先してこの問題を取り上げ、「政府は何をやってるんだ!」と追及すべきはずである。しかしマスコミは政府発表を追認するだけである。そもそも2002年の日朝首脳会談が行われるまで、産経新聞を除くマスコミのほとんどが拉致問題に対して消極的、懐疑的な態度をとってきたことからも、日本のマスコミが先進国としていかに水準が低いかを物語っている。

井沢元彦氏

 それでも日朝首脳会談をきっかけに北朝鮮に関する報道はだいぶましになった。しかし中国に関する報道は依然として不十分である。井沢氏は中国問題を、中東情勢と並んで21世紀の地球人類にとっての緊急課題であると指摘している。井沢氏は中国問題を以下の4点にまとめている。
 @中国は世界最悪の環境汚染に蝕まれており、全く歯止めがかかっていない。中国の河川は汚染され放題であり、先進国の基準では到底考えられないほどの水準に及んでいる。現在でも工場は汚染物質を河に流しっぱなしである。我々にとって恐ろしいことは、河川汚染で最も被害を被るのはもちろん中国人自身だが、下流に位置する日本がもっとも被害を被る外国となりうることである。公害防止設備を完全に無視した工場から放出される排気ガスによって大気汚染も極めて深刻だ。さらに9億の農民が冬には木を切って燃やすか石炭を燃やすなどしてますますCO2を増やしている。環境汚染が一度たまってしまうと除去するのが非常に困難となる。それが世界中に広まってしまってはもはや手遅れだ。中国の環境破壊はまさに世界人類共通の緊急課題なのである。

井沢氏の講演が終わると惜しみない拍手が沸き起こった。

 A多くの先進諸国は13億の人口大国に期待と媚態を抱いている。グーグルやヤフーの中国語版が天安門事件やダライラマなどを検索できないようにしていることはよく知られていることだし、金儲けを優先するあまり、自由、民主、人権がないがしろにされる傾向にある。
 B中国は有史以来平和的に政権を交代したことが一度もない。これがどれほど恐ろしいことなのか想像がつくであろうか。中国共産党は政権獲得以来、自らの存在を脅かす可能性のある人物、団体を徹底的に弾圧し、抹殺してきた。そうしないともし政権が交代したら自分たちが殺されるという恐怖感があるからである。日本で言えば江戸時代初期を思い起こせば理解しやすい。江戸幕府成立後も徳川家康は大阪の豊臣家を脅威と感じ、最終的に大阪の陣で豊臣家を滅ぼした。現在の中国政治は400年前の日本と同じ水準なのだ。現代の成熟した文明国家では野党が存在している。政権に対する批判の存在を認めるのが民主主義国家であり文明国家の証である。中国は当然ながら文明国家とは言えない。依然として野蛮国家のままである。
 C最も重要な問題として、中国自身は野蛮国家としての自覚がないことが挙げられる。自分の国が一番だと言う大中華思想に毒されているのだ。井沢氏はIOCが北京オリンピックの開催を認めたのは失敗だったと指摘する。なぜならIOCは過去に同じ過ちを犯しているからだ。第一次世界大戦後のドイツは経済が麻痺状態となった。そのドイツ経済を立て直したのがヒットラーのナチスである。当時の世界はナチス政権を評価し、1936年のベルリンオリンピック開催を任せることになった。オリンピックは大成功、ドイツは世界中から高い評価を受け、ドイツ国民もナチスを熱狂的に支持するようになった。その結果、最終的にどうなったかわざわざ説明するまでもあるまい。自民族が世界で最も優秀などという根拠のない幻想を抱くようになるとろくな結果にはならないのだ。
 中国共産党は今でもチベット、東トルキスタンで過酷な植民地支配を行い、台湾に対しては800発のミサイルを向けて恫喝している。そういう野蛮行為を続ける限り、中国にオリンピック開催を認めてはならなかったのだ。
 井沢氏は膨張する中国との共存の道についても語っていた。しかし中国共産党は一切の批判を認めない野蛮な政権であり、話し合いというものがそもそも成り立たないのだ。

決議文を読み上げる永山英樹氏
閉会の挨拶を述べる林建良氏

 井沢氏の講演のあと、永山英樹氏が外登証と台湾表記に関する政府への要望決議を読み上げた。最後に林建良氏が閉会の挨拶を述べた。林建良氏は、日本中に蔓延する「日中友好」、特に「中国を刺激してはならない」という呪いウィルスを断ち切らなければならないと訴えた。
 こうして午後6時、第一部の講演会が終了した。講演会終了後ロビーでは井沢氏監修の新著『そして中国の崩壊が始まる』が販売され、さらに井沢氏にサインを求める参加者の行列ができていた。

ホテルメトロポリタン4階桜の間に約200人が集まりました。

 

著書にサインをする井沢元彦氏

 

     


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